第4 遺留分制度の見直し この規定は2019年(平成31年)7月1日から施行されます
◎ 遺留分制度の見直しで遺留分侵害請求権が定められました。
これまでの遺留分減殺請求権とは、遺言や遺産分割協議において、遺留分が侵されていると考える相続人が遺留分減殺請求権行使をしますと、
当然に請求の効果が発生し、法定相続分の二分の一を限度に全ての相続財産に共有の効果(物権的効果)が生じました。
対象が全ての相続財産ですので、土地や建物、預貯金債権や現金はもちろん被相続人が営んでいた事業にも遺留分減殺請求の効果が及びます。
このため、見合う価格を弁済する方法があるとはいえ請求権者には金銭的解決の選択権は与えられておりませんでした。遺言内容実現への支障や、
不動産の共有関係の発生、株式分割での事業引継に支障が起きていると言われています。
◎ 遺留分侵害請求権制度は次のように定められました。
物権的請求権を原則とする改正前の民法第1040条及び第1041条の規定が削除され、
遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができるとする金銭的請求権原則を定めた遺留分侵害請求権が新設されました。
■請求の効果として、遺留分侵害額に相当する金銭債権のみが発生する。
■相続財産への特別受益に当たる贈与などの持ち戻し期限は、相続開始前の10年間になされた贈与に限り参入すること。
■受遺者等の請求で、金銭債権の全部または一部の支払いについて裁判所が期限を許すことができるようになりました。
■遺留分侵害額の計算方法の明確化が図られました。
■遺留分侵害額算定における債務の取り扱いが見直されました。
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