5 相続の効力等に関する見直し この規定は、2019年7月1日から適用されます。

◎   対抗要件を備えなければ第三者に対抗できなくなりました。

   これまでは判例によって「相続させる」旨の遺言による権利の引き継ぎは、登記が無くとも第三者に対抗できることとなっていました。
  しかし遺言の内容を知り得ない第三者が不動産登記内容を信じたために権利が害されることは登記制度の信頼を害することとなります。
  このたびの改正により今後は、権利の承継にあたり法定相続分を超える部分については、取得方法に関係なく登記等の対抗要件を、
備えなければ、債務者・第三者に対抗できなくなります。


   ■法定相続分を超える権利の承継は、取得方法にかかわらず、全て対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないこととなります。
   ■引き継ぐ権利が債権である場合は、受益相続人が債務者に遺言・遺産分割の内容を明らかにして権利の承継を通知することで、
 共同相続人全員が債務者に通知をしたものとみなされ、第三者に対抗できることとなります。

◎義務の承継に関する見直し     この規定は、2019年7月1日から適用されます。

 これまで相続債務は、司法(最高裁平成21324日判決)により法定相続割合で継承するものとされていました。
 しかし条文からは、読み取れない内容であったことから、明文化を図ったものです。

   今後は、新設された規定により、遺言による相続分の指定がある場合でも、被相続人の債権者は、法定相続分の割合で請求することができます。

 但し、債権者が承認すれば指定相続分に応じた請求が可能となります。この規定は、201971日から適用されます。

◎遺言執行者がある場合における相続人の遺言執行妨害行為の効果に関する見直し

   これまで相続財産の処分などの遺言執行の妨害行為は禁止されていましたが、妨害行為の効果は定められていませんでした。
司法(大審院昭和5616日判決)では妨害の効果を絶対無効としておりましたが、絶対無効では、遺言の有無や内容を知り得ない第三者に、
不測の損害を与え、取引の安全が害される恐れがありました。

  今後は、相続人の妨害行為は無効であるとの規定を新設しつつ、善意の第三者には対抗できないと定め、取引の安全を図りました。

■遺言の執行を妨げる相続人の行為は原則として無効とされます。
■善意の第三者には無効を主張できません。
■妨害行為があった場合でも、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産について権利行使をすることが許されます。



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