持ち戻し免除
◎「持ち戻し免除」とは、「特別受益」の「持ち戻し」を免除することです。
◎「持ち戻し」制度とは、相続財産に「特別受益」の額を加えた後の財産を相続財産とみなす制度です。
    その目的は、相続財産確定に際し、「特別受益」を相続分の前渡しと考え、相続人間の衡平を図る民法固有の考えかたです。
(参考 民法903条Ⅰ,,Ⅲ項)

   なお、「特別受益」とは、共同相続人中の誰かが被相続人から婚姻費用や養子縁組の費用、生計の資本の生前贈与を受けたり、
遺贈(遺言による財産の贈与)を受けた者の利益のことです。利益を受けている相続人を「特別受益者」と言います。

◎「持ち戻し免除」とは、相続財産の算定にあたり、特別受益者がおり、特別受益分の持ち戻しが必要な場合であっても、
被相続人が「持ち戻しを免除する」との意思表示により相続財産に持ち戻し分を加えることを免除することです。
共同相続人の衡平よりも被相続人の意思を優先させる規定です。

◎この度の民法改正では、903条にⅣ項を追加し、婚姻期間が20年以上の一方である被相続人が、他の一方に対し、
その居住の用に供する建物またはその敷地について遺贈または贈与をしたときには、「持ち戻しを免除した」と推定することと定められました。