民事信託活用の具体的場面例をお示しいたします。
 お客様ご自身の老後対策としても民事信託制度の利用が有効です。誰しもが高齢となり物忘れがひどくなります。自覚されたときは
対応策を作るため、素早い意思(何をどうしたいかの具体化。)の確定が肝要です。
大切な不動産や預金、株式などの財産をお子様などに
「引き継がせたい」「安心した生活を保障してあげたい」とお考えのとき、相続を念頭に財産承継の仕組みを信託制度により行うことで、
次のようなご心配にお応えできます。


  子どもに財産を引き継ぐにしても、財産の使い途は、教育や医療のために限定したい。遊興費などに無駄遣いをできないように
 したい。(財産活用の制限)


  未成年の子ども、知的障害者の方・高次脳機能障害者の方など障碍をお持ちの方々、認知症を持つ高齢者の方など、財産を
 管理する法的能力がない(または失われた)とき、「親亡き後」「夫(妻)亡き後」などの対策を実現したい。


  財産を引き継いだ子どもが先に亡くなったとき、財産は子どもの配偶者に相続される。財産、殊に株式などが散逸することを
 防ぎたい。第一次相続人以降の相続人を決めておきたい。(第二次相続人の順位決定)


  自分の死後は子ども夫婦が財産を引き継ぐのは良い。しかし残された妻(夫)の安泰な老後生活保証が心配であるので、確実な
 準備をしておきたい。


  財産は一度に引き継ぐのではなく、毎年一定額を渡したい。

  子どもが未熟であると思われる間は、贈与した財産や株式を引き続き自分が管理し、経営権を保持し、自分の死後は成長した
子どもに管理や事業運営を委ねたい。


 お客様ご自身の老後対策としても民事信託制度の利用が有効です。誰しもが高齢となり物忘れがひどくなります。自覚されたときは
 対応策を作るため、素早い意思(何をどうしたいかの具体化。)の確定が肝要です。

 契約時点から直ちに効力を生ずる信託制度の活用が、お考えの実現を確実にいたします。
(ご自身の判断能力低下と介護への備えとしての後見的財産管理機能。)


  ご自身の老後生活のありかたと、それを支える介護費用などにご自身の財産を活用する、施設入所の費用にあてる、必要に応じて
 自宅不動産を処分する、などと定めた信託契約が役立ちます。認知症になっても契約締結時点から直ちに契約内容の効果が生じ、自分の
 財産を自分のために活用できる民事信託制度の活用が緊急の対応として必要です。(後見代用信託)


  お客様がお元気であったときのお考えである、贈与や積極的財産活用(投資、経営への参画)の実現は、認知症が進んでしまえば
 成年後見制度でも対応できません。お元気なうちにお客様の思いやお考えを具体的に反映した民事信託契約により受託者を通じて実現
 することが最適な方策です。


 認知症が進行してしまいますと、任意後見契約の発効(*4)や申し立てによる法定後見の開始(*5)により、法律行為(売買、
 賃貸借、お金の借り入れなどの契約、贈与や遺言など)がお一人ではできなくなってしまいます。


  家庭裁判所で選任される成年後見人は、被後見人の財産管理と身上監護(被後見人の生活全般を契約の代理締結などによってトータルに
 支援する。)の役割を担います。しかし、財産の管理・活用面では、施設利用料や医療機関への治療費支出など、被後見人の財産が不当に
 減少しないように「守る」財産保全行為に限られます。

 お客様の死後、ペットは相続人になれませんので、残されたペットは、相続人やほかの方などどなたかに世話をお願いすることとなり
 ます。しかし本当に世話を続けてくれるのか、相続財産がペットの飼育費だけに使われるかのご心配が残ると思います。


 そこで、大切にしていたペットがこれまでと変わらぬ生活を確実に送れるようペットの飼育を目的とした財産活用については、信託を設定し、
お客様亡きあとや、お客様の施設入所のときなどを条件として、信託監督人の下で安心を確保することが可能になります。


  お客様の財産は、ペットを飼育するためだけに使用することが確実に実現できます。現在は受益者(ペットは受益者にはなれませんので。)の
 無い信託は、「目的信託」とも呼ばれ、個人が受託者になれません。信託契約の相手方となる「受託者」としてお委せできるのは、当分の間政令で
 定める法人に限られています。信託の存続期間は20年を超えることはできません。


  しかし、ペットに関する信託の扱いは、税負担の視点から注意が必要です。いわゆる目的信託構成をとるか、それ以外にペットの所有者変更を
 踏まえた信託構成とするか注意が必要です。具体的費用については、税負担も含め慎重な検討が必要です。


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